早期胃がんなら100%完治できる日本の診断・治療技術
「アメリカの一流大学より日本の開業医の方が信頼できる」
資源小国ニッポンは技術が売り物。それは医療にも反映されていて、たとえば胃がんの診断・治療技術は世界最高水準。機器の輸出も多い。「アメリカの一流大学より日本の開業医の方が信頼できる」(市川平三郎・国立がんセンター病院長)ほど。
胃がんの早期発見を可能にしたX線二重造影は、直径2〜5・程度のがんもはっきりとらえる。胃の集団検診で行なわれるX線撮影の基準が、10年ぶりに「最小限6枚」から「最小限7枚」に改正され(1983年11月)、見落としも、いっそう少なくなったといわれている。
それと胃カメラ。ファイバースコープ(内視鏡)はアメリカ生まれだが、これに管を通して患部の組織を直接とり出し、検査(生検)できるように改良したのはわが国の技術だ。
定期検診と異常の自己チェックが大切
これらの技術の進歩と専門医の層の厚さのおかげで、早期胃がんならほぽ100%完治できるといわれるが、技術過信は禁物。いざというとき、その恩恵を受けるためにはやっておかなければならないことがある。それは、35歳以上になったら、半年に1回は定期検診を必ず受けること。それと異常をはやくチェックすること。
胃がんの初期には、次のような症状がある。
・特に空腹時に、胃に鈍い痛みがある。
・胃がはる、重苦しい。
・吐きけ。
・胸やけやげっぷ。
・ときどき下痢をしたり吐く、下痢と便秘を繰り返す。
・食べ物がのみこみにくく、みぞおちのあたりでひっかかる感じがする。
・食欲不振。
・食べ物の好みが急に変わる。特に動物性たんぱく質をきらう。
・体重が減る。
・貧血、など。
これらの自覚症状は胃がん特有というわけではなく、単なる胃炎の場合もあるが、このような症状が続いたり、たびたび繰り返すようなら、医師にみてもらうように。食欲不振や体重の減少、吐血、下血などがあれば急いでみてもらう必要がある。
胃がん王国の克服は一人ひとりの注意から
がんによる死亡者数は、30年前に比べると約2・5倍も増えている。胃がんによる死亡は近年、横ばい状態とはいえ年間約4万9000人と最も多く、がん死亡者数の約26%も占める。
日本人は、塩辛いものを多くとる食習慣などがわざわいして、世界に冠たる胃がん王国とさえいわれる。治療技術は大進歩したかもしれないが、油断できない病気であることには変わりない。