「漢方エキス製剤」の開発が漢方治療をより身近なものに
東洋医学という呼称もありますが、漢方、中医学とはどのような関係にあるのでしょうか。
玉田 中国から渡ってきたものが日本で独自の発展を遂げて漢方医学となったように、中国から派生したものは韓国や台湾に渡ってそれぞれ独自の発展を遂げています。そうしたものを包括して東洋医学と言っています。
日本にも華岡青洲というすばらしい医者がいて、麻酔による外科手術を行ったり、また紫雲膏という火傷に効く軟膏を開発しています。今でも紫雲膏は保険薬として残っていますが、残念なことに華岡青洲は弟子にしかつくり方を教えませんでした。そのため学問としてもっと発展する余地があったかも知れないのですが、そのままで終わってしまったわけです。
最近、東洋医学科あるいは漢方医学科を設置する病院が目につくようになりました。
玉 田 まだまだ設置していない病院の方が多いと思いますよ。私ども都立大久保病院では、8年ほど前から東洋医学科を置いています。昭和51年に、「漢方エキス製剤」が保険薬として認められました。いろいろな生薬を刻んで煎じたものをフリーズドライ製法で粉にしたものですが、煎じ薬より使いやすいという利点があります。
たとえば何種類もの生薬を使う場合、それぞれ量を指定したり、煎じ方を患者さんに説明することは大変な仕事です。はっきり言って不可能に近いですね。ところが、「漢方エキス製剤」は、面 倒なことはせずに内服薬として簡単に使えるわけです。
これまでは一部の医者にしかできなかった漢方治療が、「漢方エキス製剤」ができたことにより多くの医者が治療薬として使えるようになったわけです。また保険薬として認められたことにより多くの医者が使う可能性も出てきたわけです。実際に効くということも徐々にわかってきたこともあります。そういう意味では、制度的なものが大きく影響しているのではないかと思います。
いろんな薬がつくられるようになり、病院側もそういうものをどんどん採り入れなくてはいけなくなっている。
玉田 そうですね。漢方薬は「悪い副作用」が少ないのではないかと期待されていましたし、今でも期待されているものですから、徐々に使われるようになりました。今では漢方薬を使ったことのない医者は少ないと思います。
しかし誰でも簡単に漢方医になれるわけではない。
玉田 そうですね。日本では西洋医学を勉強して医者の資格を持っている人でないと漢方治療をすることはできません。つまり、患者さんを診て、採血したり、検査をしたり、あるいは注射をすることは非常に責任が重い仕事だからです。