中医学による治療とは?
まず中医学による診療は「問診、切診、望診、聞診」から始まる。「問診」とは患者の話しを聞くこと、「切診」は脈をみたりお腹を触って診察すること、「望診」は患者の外観や舌をみることで、「聞診」は口臭や体臭を嗅ぐことで診察する方法である。
例えば、脈をみることひとつとってみても、指先から20種類以上の脈を感じ取るなど、医師はその感覚を研ぎ澄まして患者の身体全体から病態を把握する。また、五感を観察をすることで、その人の身体や生理現象をきめ細かく診断し、病巣がどこにあるのかも見きわめていく。
身体のバランスが失われている状態を、中医学では「証(しょう)」という診方で把握する。「証」とは西洋医学でいう病名や症状と似て非なるものといっていいだろう。身体に何らかの異常がある場合は、痛み、熱、腫れなどの様々な自覚症状や外見上の変化が生じるが、ある「経絡(けいらく)」に一連の「症候群」となって現れてくることを「証」と呼んでいるのだ。同じ病気でも人によって、また病気の進行状況によって証は異なるため、診察では一人ひとりの証を見きわめ、その人に合った鍼灸や生薬による治療を行わなければならない。
また中医学では、心理状態や性格と病気は切ってもきれない関係にある。性格は必然的に体質やそれに基づく病気に関連づけられ、病気の診断においても肉体と精神の両面からとらえている。(表参照)
「中西医結合」の医療で頭痛を治す
「慢性頭痛で来られる方で一番多いのが、肩凝りなどを伴った頭痛で、西洋医学では緊張性頭痛と呼ばれるものです。肩凝りから首筋のはり、後頭部の頭痛に発展するのですが、ひどい時には目の奥が痛んだり吐き気がすることもあります。
このような頭痛は、膀胱経(肩から首すじ、後頭部、目の奥につながっている)という経絡の失調によることが多く、膀胱経の経絡にそってハリ治療を繰り返すことが効果的です。また頭痛がひどく鎮痛剤を多用する人は、漢方薬と併用することにより鎮痛剤の頻度や量を少なくすることができます。
漢方薬は頭痛が起こりそうな時に早めに飲むようにするといいですが、平行して頭痛の元となる失調も漢方薬で治していくうちに、免疫力もつき体調もすっかり良くなります。その結果、自然と頭痛もなくなるわけです」
このように中医学は、慢性頭痛をはじめ西洋医学では原因の解らない慢性の病気や難病に対して大いに力を発揮する。しかし一方で、体の異常箇所を見つけたり手術が必要な病気の場合は西洋医学の方が優れているのも事実であろう。中医学と西洋医学の良いところを用い、またそれぞれの欠点を補うことで、より広範囲の診断と治療を行う「中西医結合」。谷医師はこの「中西医結合」の理念を提唱して30年に及び、鍼灸や漢方などの中医学とハイテク機器による検査を駆使した西洋医学との総合診療を実践し、大きな実績をあげている。
慢性頭痛に限らず、西洋医学で原因不明と診断された慢性の疾患に悩む人たちにとっては、またとない朗報である。