風邪と頭痛
ところで頭痛と最も関係する白然界の邪は『風』だ。風は突然起こり、舞い上がる。このことから身体の上部、特に頭部に起きる頭痛を、古代の漢方医は『風邪(ふうじゃ)』によるものと考えた。カゼを引いたときの頭痛などは、今でも使う風邪(かぜ)という言葉からもわかるように、風邪(ふうじゃ)が引き起こす頭痛の典型的なものなのだ。
また、身体の内に生まれる風邪(ふうじゃ)を代表するのが高血圧の頭痛で、中国漢方では高血圧とはいわず『肝陽上元』と呼ぶ。『肝』はまたストレスの影響を一番受けやすい内臓でもある。
湿邪と頭痛
『風』の次に頭痛と関係している邪が『湿」だ。日本人は特に湿邪の影響を受けやすい。多湿の気候が関係しているからだろうか。一方、体の内に生まれる湿邪には食事の不摂生が関与する。中国漢方では「胃は湿を嫌う」と言うが、湿と切っても切れない仲なのだ。脂っこい食べ物や甘い物、特にお酒は「湿を生む」といって戒めている。
さて湿邪による頭痛だが、実際に曇った日とか湿度が高いときに頭痛が起きやすい人がいるのだ。慢性頭痛に多いようだが、『湿」はしつこくいつまでも停滞し、やがて治りにくい頑固な頭痛を引き起こす。
お血驚顧痛
また痛みの発生原因から頭痛を捉える方法もある。例えばストレスは血の流れをどろっとさせて血管を詰まりやすくするが、漢方では滞った血の流れ、あるいは血の詰まりを『お血(おけつ)』と呼ぶ。『お血』が頭に栄養を運ぶ経絡という通路(神経血管系を連想するとわかりやすい)を塞いでしまうために痛みが起きると考えるが、鍼灸治療などはこの経路を通じさせることで頭痛を治す。
漢方治療には、頭痛のパターンと体質に合わせて十人十色の漢方薬がある。鎮痛剤に頼らぬ漢方の道はなかなか入りにくいかもしれないが、百聞は一見に如かず、まずは漢方薬局をお訪ねいただきたい。
◎生薬
漢方薬の原料となる天然の動植物を生薬と呼ぶが、漢方薬は数種類の生薬を配合してできている。例えば、頭痛の漢方薬に使われている生薬には、センキュウ、ビャクシ、キョウカツ、キクカなどがあり、キクカはまた、お茶代わりに飲むことも可能だ。
◎中国漢方の薬
・頂調顆粒(ちょうちょうかりゅう)
『風邪(ふうじゃ)による頭痛』をはじめ、幅広く頭痛の専門薬として使える。片頭痛には、長引く前にできるだけ初期に服む。長引けばそれだけ薬も複雑になるからだ。
・双料杞菊地黄丸(そうりょうこぎくじおうがん)
『肝陽上亢の頭痛』に使う。目の漢方薬としても有名だが、最近増えているパソコンによる目の痛みに最適な薬。
・冠元穎粒(かんげんかりゅう)
『お血の頭痛』に使う。冠元穎粒はお血をとる専門薬、特に首筋や肩のこりを伴う頭痛に長く使える薬。
・勝湿穎粒(しょうしつかりゅう
『随邪による頭痛』に使う爪片頭痛の前兆であるだるさや気持ちの悪さを感じたら早めに服むといいだろう。夏風邪による頭痛や下痢にも効果がある。