西洋薬の本来の力を引き出す漢方治療を実践
中村實郎先生 高血圧の治療には一般的に降圧薬が投与される場合が多いが、「降圧薬は漢方薬との併用が効果的」という持論を持っているのが、中村診療所(東京中野区)の中村實郎先生である。中村先生は約40年間漢方の研究を続けており、現在は東京漢方臨床研究会の世話役も務めている。
降圧薬は言い換えれば西洋薬だが、同氏は西洋薬に関する副作用を指摘している。西洋薬は強い効力、きれ味の良さが重視されるため、例えば草根木皮が効くとなると、その一部分だけを抽出し化学分析を行って純粋の物質を取り出して構造式を決定。合成して薬とする。一部分だけを抽出するためきれ味は良いが、反面、副作用が出る恐れもあるわけだ。
一方、漢方薬は一つの生薬だけでなく、複数の生薬を組み合わせて作る。身体の調整をはかるため、高血圧にも低血圧にも効くことがある。
それでは、どのようなケースでどのような漢方薬を飲めば良いのか。漢方では病気の身体に合う楽を見つけるため、その人の症状と「八綱弁証(はっこうべんしょう」といういろいろな証などを判断基準とする。
「八綱弁証」には文字通り8つの証があるが、代表的な物は「熱証」(あつがりな人)と、「寒証」(寒がりの人)だ。例えば「熱証」には、六味丸(ろくみがん)、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、大黄(だいおう)、黄連(おうれん)、石膏(せっこう)など、「寒証」には八味丸(はちみがん)、人参湯(にんじんとう)などの薬を飲めば良いなど、症状によって最適な薬がわかる。
他の6つの証も陰陽の+・−に分かれ、元気があるか、身体が充実しているかといったことをみる。漢方では、人間はもともと冷えやすい体質か、熱くなりやすい体質かいずれかを持っているという前提で、「身体を冷やす・温める」という発想を基本としている。つまり、漢方を服用することで平熱に近い形に戻すわけだ。この、冷やす・温めるという発想は、西洋医学にはない、漢方独自の考え方である。