スクアラミンの抗ガンシステムは"兵糧攻め"だった
ガン細胞は1ミリ以上のかたまりになると、そのままでは成長、増殖に必要な栄養素、酸素をガン内部にまで取り込むことができなくなる。そこで栄養素、酸素を運ぶパイプラインとなる新しい血管を誘引するのだ。これが「血管新生」という現象である。ザスロフ博士は「スクアラミン」を投与されたガン細胞は、この異常な血管新生が起こらないことを発見した。血管新生をおこなえないガン細胞は栄養を絶たれ、徐々に自滅するのである。スクアラミンはいわばガンを"兵糧攻め"にしているといえる。
これまでのガン治療ではガン細胞を攻撃するだけでなく、正常な細胞も傷つけてしまう。その影響は患者の身体に大きな負担となってあらわれる。一般的に副作用といわれるものだ。しかし、ガン細胞に栄養、酸素を供給する血管新生を阻害できれば、ガン細胞を自滅させることができ、正常な細胞には影響を及ぼさずに治療をおこなえる可能性があるわけだ。血管新生はガン細胞特有の異常な現象といっても過言ではないので、ガン細胞を限定して自滅へ導き、血管新生が起こらなければ転移もおこらないため、外科手術も効果的になるであろう。
ザスロフ博士の研究が進むと同時に『ニューヨークタイムズ』誌がスクアラミンの動物実験を取り上げ「深海ザメの肝臓成分には既存の抗生物質のなかでも最強のものと同等の力がある」と発表した。それをきっかけに世界中の医学会で注目されるようになった。
現在、アメリカ・テキサス州のサンアントニオ・ガン研究センターにおいて、"副作用のほとんどない抗ガン剤"を開発するために、スクアラミンの臨床試験をおこなっている。あと数年で抗ガン剤として認可される段階にきている。抗ガン剤開発に必要な臨床試験を通じて、明らかになってきたのは、アメリカのジョンズホプキンス大学・腫瘍学部長であるヘンリーベルム博士が『Cance rReserch』というガン専門誌で発表しているように、「スクアラミンはガンの増殖を劇的に抑制する」だけでなく、「抗労ン剤投与にともなう激しい嘔吐、下痢、脱毛、白血球の減少といった副作用がみられないこと」である。
サメの肝油成分は血液も改善
スクアラミンはサメの肝油成分のひとつとして注目されているが、それ以外の有効成分も見逃せない。すでに研究されているスクワレン、白血球の生産に不可欠なアルキルグリセロール、中性脂肪を減らすオメガ3系脂肪酸、ビタミン、ミネラル…。なかでも注目したいのが「炭素鎖27」という成分である。
この成分は「赤血球変形能」、つまり赤血球がスムースに毛細血管を流れるようにする能力で、血流を活性化するのに必要となる。実際に福岡大学医学部第5内科の臨床医がおこなった実験では「赤血球変形能に明らかな改善を認めた」と発表している。これはわかりやすくいえば、ドロドロの血液がサラサラに変化したことを意味している。
実験の1例を挙げると次の通りだ。
60歳の男性歯科医にサメの生肝油をそのまま飲んでもらい、服用前に撮影した赤血球の写真と服用5分後の写真を比較(写真1、2)。肝油を飲む前は血球が折り重なるようにくっつき、血流が滞っていたが、肝油を飲んで5分足らずで血球が分離し、明らかに血流が改善された。
「これほど短時間で血流が改善される例は初めてのことであり、自ら使ってみたい」と臨床医がサメの生肝油に興味を示している。