「病人」を対象にしたハートフルな医療を実践
では、実際にはどのような治療をしているのだろうか。
「歯科治療というのは、削ったり、被せたりというふうに機械的なものや小外科の治療などが多く、基本的には臨床は西洋医学のシステムになっています。そのため一般的には西洋医学的な処置をします。
ただ、歯周病、粘膜疾患、口内炎などに対して本来の処置をしたのに、なかなか痛みがとれない、よくならないような場合には、漢方薬がありますよ、鍼灸という手もありますよ、というかたちでの治療をしているわけです」
歯周病を例にとってみよう、西洋医学では一般的に口腔を清潔にしていないから歯周病になるとされている。そのため治療法としては、歯を磨きなさい、歯石をとりなさい、あるいは手術をしなさいということになる。
一方、東洋医学では歯周病になる原因をいくつかあげている(表参照)。人により原因はそれぞれ違う。そのため患者の話をよく聞きながら、原因に合わせた薬を出している。もちろん体質もあるので、原因、体質に合わせたきめ細やかな治療をしているという。
「なにも歯周病を漢方だけで治すとは言っておりません。治りが悪いときに併用すると、より効果が上がるということです。患者さんにはとっては、レパートリーがたくさんあったほうがいいのではないかと思います」
西洋医学と東洋医学が、それぞれ「集団の医療」と「個の医療」と言われるのは、そこにあるのだと岡村先生は言う。
また、同じ処置をしているのに治りに差が出るのは、体質も大きく影響している。そのため体質を改善するために漢方薬を出す場合もあるそうだ。鍼灸の場合も同じで、歯科に関連する疾病の場合は関連するツボに鍼をうつのだそうだ。
「そういう意味では、西洋医学が『病気を対象』にした医療なのに対し、東洋医学は、『病人を対象』にした医療ということが言えると思います。一人ひとりの症状に合わせで治療を行うわけですから」
このようにセカンドチョイス的に東洋医学的な治療を選べるケースの他、インプラントのような大手術の場合は、低周波を流しながら手術をし、最初から2週間分くらいの漢方薬を処方するケースもある。これも全て早く治してほしいからだそうだ。
「西洋医学は解剖学という基礎があり、アカデミズムによるトップダウンの医学です。漢方などの、いわゆる伝統医学は大衆の支持によりボトムアップで生き残ってきた医学です。西洋と東洋を区分けすることはせずに(もちろん知識としては区分けしますが)、いいものはどんどん取り入れていきます。そして、東西両医学を共存させることで新しい『第3の医療』を構築できたらと思っています」
ユニークな「健康教育セミナー」
オカムラ歯科医院では一般の歯科診療のほかに、「歯科人間ドック」、歯科往診車による「訪問診療」「居宅介護サービス」などの支援もしている。
ユニークなのは「健康教育セミナー」だ。発声・呼吸・咀嚼・接触・体動の5つのテーマでセミナーをやり、自分自身のライフスタイルを見直していくことを啓蒙している。
「一例を上げれば毎日不自然な姿勢を続けていると聴み合わせに影響します。そういうライフスタイルを見直さずに、噛み合わせを矯正しても意味がありません。ですから、自立的に生活改善をしていくことで自分の身体に対する考え方を変えてほしいと思っています」