早期発見を可能にするガン検査装置
決定的なガンの治療法が確立されていない現状で、確実ながン治療が再能であるとすれば『早期発見』が条件になる。実際に早期発見できれば治癒は限りなく100%に近づくが、運に左右されるケースが大半だ。
ところが早期発見を可能にするガン検査装置が登場した。それが「PET」(陽電放射性断層撮影装置)である。容易に、しかも確実に数ミリ単位のガンを識別でき、良性か悪性かまで判定できるのだ。
治療にも予防にも決定的な方法が確立されていない現状では、ガン治療のキーワードといえる早期発見が実質的な「転ばぬ先の杖」になるだろう。
「運良く早期発見できまして……」という言葉を元ガン患者から聞くことがある。それは早期発見できたから転移もなく、比較的容易な外科手術で除去することができた結果の言葉である。ここで気になるのは、「運良く発見できた」という言葉である。
ガン検査の現状ではX線写真によるCT、MRI(磁気共鳴映像)などが用いられている。腫瘍の大きさや位置、拡がり方などを見るにはよいが、数ミリ単位のガンを発見するのは困難。ましてや悪性・良性の判別などできない。「運良く〜」という言葉はこの現状を反映しているものなのだ。
「ガンの疑いがあると言われ外科手術を受けたが良性であり、これなら手術する必要はなかった——」
このようなは話はガン検査においては日常茶飯事である。検査担当の医師からは「良性といってもいつ悪性に変わるかわからないので、手術することで良性か悪性かはっきりさせることは必要ですよ」といった説明を受ける。
しかし、患者にとっては不要な手術であった疑いがぬぐいきれない。悪性でなかったことは喜ばしいが、手術費用を考えても事前に良性か悪性か判定できないものか、と複雑な心境のまま病院を後にする。
『早期発見』が重要であることはわかっているが、良性か悪性か正確に診断するとなると手術が必要となる。肉体的にも経済的にも痛手を負わずにガンを早期発見するのはなかなか難しいのが現状なのだ。
そこで注目されはじめたのがPETによるガン検査だ。PETは「運良く〜」ではなく「確実にガンを早期発見できる」ことから画期的な検査システムといわれている。
PETがいかに画期的かというと、以下の特徴をみれば既存の検査方法と大幅に異なることがわかるだろう。
1. ミリ単位の腫瘍であっても発見できる
2. 腫瘍が良性か悪性か瞬時に判断できる
3. 精度(正診率)は90%以上である
4. 一度に全身のガンを検査できる
これらの特徴によってガンの早期発見だけでなくガン治療にも非常に有効な手段となりうるのである。治療前であれば、発見しにくいリンパ節転移などの見極めによる不要な手術の回避。治療中なら放射線治療、抗ガン剤治療などの効果の確認。治療後なら予後の経過観察で再発・転移の早期発見、といった具合である。