PETの検査では一度に全身のガンを発見
PETとはPositron Emission Tomography(ポジトロン・エミッション・トモグラフィ)の略で、「陽電子放射性断層撮影装置」という身体の生理機能を診断する検査機器。
検査にともなう苦痛や不快感など一切なく、患者は約2時間寝ているだけで全身を検査し、異状を発見できる。
PETのガン検査システムはまるで擬餌針や害虫駆除の方法に似ていて、一般の人にも比較的わかりやすい。
まず、ブドウ糖に似た放射性物質を5〜10cc静脈に注射し、全身に行き渡らせる。ガン細胞は異常なスピードで増殖するため、正常な細胞の3〜8倍のブドウ糖をエネルギー源として摂取するのだが、その際に注射した放射性物質の薬品もブドウ糖と勘違いして吸収してしまう。吸収された薬品から出る放射線が発光し、それを撮影することでガンを識別できるわけだ。
全身を3ミリ間隔で輪切り状に撮影し、約300枚の断層写真からガン細胞を見分けるが、もし腫瘍が良性であれば薬品は反応せず写真には暗く写る。逆に悪性腫瘍の場合は赤もしくは黄色に発色して写っているので一目瞭然である。さらに画像にあらわれた臓器の血流、新陳代謝などの状態を解析することで、ガンが発生している正確な場所、ガンの大きさがわかる仕組みになっている。
これまで主流であったガンの検査装置であるCT、MRIとPETの違いをあらためて比較してみると次のようになる。
■X線コンピューター断層撮影装置(XlCT、CT)
平面の断層写真によって病巣をとらえる。体内の臓器や、ガンなどの病気の形を見るのに適しており、特に体の動きのあるところ、胸部、腹部などに威力を発揮する。しかし、検査は部分的、数センチ問隔で断層写真を撮影するので、数ミリのガンの発見、良性・悪性の判別は困難。
■磁気共鳴断層撮影装置(MRlまたはMR)
立体的に病巣をとらえるので、ガンの形をみるには適している。そのほかに水分または血液の量の変化から生理機能の変化も見ることができ、脳、脊髄、小骨盤などの繊細な映像が得られる。しかし、部分的な検査となり3センチほどの間隔で断層撮影するので、ミリ単位のガンの発見、良性・悪性の判別が困難。
■陽電子放射性断層撮影装置(PET)
3種の装置のうち、XCTやMRIが主として形を見る装置であるのに対しPETは一度に全身の各部位を3ミリ間隔で撮影し、全身のガンを全て描き出せる上、良性・悪性の判別もできる。さらに脳の繊細な機能も見ることができる。放射性物質を使うが検査1回に受ける被爆量は肺のレントゲン撮影2回分と極めて少ない。
このように3装置の特徴を列挙すると、PETの有用性が明らかになってくる。CT、MRIと決定的に違うのは「ガンの良性、悪性を判別できる」、「数ミリのガンであっても発見できる」。これら2点である。加えていうならば、「検査に苦痛がともなわない」、「すぐに結果がわかる」、「安全である」
といったメリットも検査を受ける側にとっては重要であろう。