沈黙の臓器「肝臓」
〜肝口病を予防する生活術-ーバランスのとれた食生活がまず第一〜
肝臓強化のポイントは、栄養のバランスがとれた食生活をすること。中でもたんぱく質が不可欠。肝臓はたとえやられても、やられた細胞の代わりに新しい細胞がどんどんつくられてくるが、その肝臓の細胞を構成しているのはたんぱく質だからだ。
魚、肉、卵、豆腐などの良質なたんぱく質を十分にとるようにする。
ひと昔前までは、肝臓病患者は脂っこいものをとるのはタブーとされていた。しかし最近では、黄疸があるときを除いて自由化されている。とはいえ、ごちそうの食べすぎに運動不足が加われば太る。肥満は肝臓に脂肪を余分にためる結果になるので太りすぎないように気をつける。
食事のあとのゴロ寝は肝臓の機能を高める
朝食抜きは肝臓にとっても大敵。食べた栄養は消化・吸収されて一度は肝臓に集まるが、あるときには全然集まらず、次にはどっと集まるようなことを繰り返していると、肝臓は円滑な働きができなくなってくるからだ。一日3回、規則正しく食事したいもの。
食事のあとはゴロ寝もけっこう。食後1時間は肝臓のかせぎどき。そのとき、激しい運動や仕事などをしてからだを動かすと、肝臓にいく血液は30%も減ってしまうといわれている。行儀の悪い〃ウシ"をめざし、せめて20分でも横になっていれば、肝臓への血液の流れがよくなり、フル操業できる。
ごろ寝は、酒の好きな人にもおすすめできる。宴会や接待が予定されているときは、事前に20分でも30分でも横になる場所と機会をみつければ、あとのアルコールの処理能力がグーンとちがってくることうけあい。
"アルコール性午前様"には注意を
肝臓はオーナーが睡眠中でも働き続けている。睡眠中にたんぱく質などが合成されるのだが、オーナーの寝不足は肝臓の働きにも悪影響を与える。〃アルコール性午前様"がからだによくない理由もここにある。
また、便秘が続くと、腸内の細菌の作用でアンモニアなどの有害物質が発生するが、吸収されたそれを解毒するのも肝臓。便通がよければ、肝臓の仕事量も増えないわけ。
薬の乱用をつつしむ
薬の乱用も肝臓には悪い。薬は一種の異物だ。その異物を処理するのが肝臓だが、度がすぎると肝臓をいためてしまう、特に、抗生物質は肝臓を障害する可能性が高いため、いつまでもダラダラ飲むのは禁物。また、酒といっしょに薬を飲むのも危険。どちらも肝臓で処置されるが、いっしょに飲むとどちらも不十分になって薬がききすぎること力あるからだ。睡眠薬を酒とい・っしょに飲むと死亡事故につながることもある。
B型肝炎のキャリアが注意しておきたいこと
大量の酒を長期間飲み続ければ、それだけで肝臓病になる危険性は高まるが、ウイルス性肝炎もこわい。特に問題なのがB型肝炎。このウイルスは血液(輸血)によって感染することが多いが、産婦から新生児に感染する例も多い。生まれてすぐにHBs抗原(血液中にB型肝炎ウイルスが含まれること)が陽性になり、すぐに発病はしないが、ウイルスを持ち続けることになる。こうした人たちをキャリアと呼んでいる(全世界で約2億人、日本には約300万人のキャリアがいるといわれる)。そしてキャリアの10%程度が10歳代後半から20歳代にかけて急性肝炎を起こして、やがて慢性肝炎から肝硬変、肝臓がんへと進む可能性がある。
献血でもキャリアであることがわかるが、疑いがあるときは精密検査を受けること。しかしキャリアだとわかっても悲観することはない。規則正しい生活を送って肝炎を予防し、さらに、供血をしない、ヒゲそりなどの貸し借りをしないなどに注意をして、ウイルスを他に感染しないよう心がけることが大切。1984年9月にB型肝炎ワクチンの製造が承認され、予防の道も開かれるようになった。