高血圧と合併症
〜血圧調節のバランス役、脳・心臓・腎臓の障害を起こしやすい〜
「医師から血圧が高いといわれたが、症状もないし、なんでそんなに高血圧が怖いのか」——こんな素朴な疑問をもっている人は意外に多い。
たしかに高血圧そのものは、それほど怖い病気ではない。というよりも、高血圧は病気ではない、単なるからだに見られる変異の一現象にすぎないという考え方だってできる。というのも、体内にはもともと血圧を調節する機構が備わっている。たとえば、運動をすれば必要に応じて心臓は最大の血液を送り出し、また、寒冷に触れると、末梢の血管が収縮する。そしていずれも血圧を上げる原因になるが、これらは生体のいわば防御反応ともいえるのだ。
しかし、ここからが問題なのだが、いろいろな原因によって高血圧の状態が続くと、血管はその負担に伴っての悪循環が始まり、やがては動脈硬化も促進して、血圧が正常に働くようにバランスをとってくれていた臓器に無理が生じてくる。ニセモノの高血圧がホンモノノの高血圧になってしまうと考えてもよいだろう。その最大の犠牲者は、バランスをとる役目をになっていた、脳、心臓、腎臓だ。
「高血圧は一日にして成らず」
高血圧で怖いのは、この脳、心臓、腎臓に起こってくる合併症である。脳に負担がかかれば脳卒中、心臓に負担がかかれば心不全、腎臓に負担がかかれば腎不全と、いずれも命とりの障害が起こる。
ところで、血圧を上げる"いろいろな原因"とはいったい何か。実はこれがまだはっきりわかっていないのだ。容疑者としては、遺伝的因子や精神的ストレス、過労、寒冷、塩分のとりすぎなどがあげられているが、決定的な証拠がないので、現在、医学では、やむをえず、この原因不明の高血圧を「本態性高血圧症」と呼んでいる。これに対し、血圧を上昇させるなんらかの病気があって(腎臓病によるものが最も多い)、血圧が高くなるものを二次性高血圧症と呼んでいる。一般に高血圧というのは前者をさし、高血圧の約90%を占めている。
容疑者が多ければ、しらみつぶしに当たっていくのが捜索の常道だ。精神的ストレスや過労、塩分のとりすぎなど、容疑者と見られているものを日常生活の中から定期的にチェックして排除していく、これこそ忍びよる高血圧に対処する最善の策といえる。「高血圧は一日にして成らず」なのだ。