孤立が緊張感や刺激をなくしてしまう
ある医師の体験談。
数年来見かけなかった女性患者に、待合室で会ったので「久しぶり。お元気?」と声をかけた。すると「元気なら、病院なんかに来ますか?」という返事。それは確かだが、ねぎらいのことばに対する「感動」を失いかけるとボケが始まるとその医師は指摘する。
ことばとは、もともと魂がとびかう意。まともな挨拶がないのは、人間関係の縁の切れ目になる。当人は当然、孤立する。その段階からボケが始まるという。
おしゃべりはあごを動かし、脳の血液循環をよくする
また、無口というか非常識というか、声をかけても返事をせず、ムスッとしている人がいる。
たとえば、朝の挨拶を”省略”する人は意外に多い。ある調査によると、いつも、「おはよう」と言う人は全体の4分の1。逆に「めったにしない」「あまりしない」という人は、合わせると全体の3分の1にものぼるとか。特に20歳代の男性の”挨拶率”は9%の悪さだという。
酒でも入れば別だが、このテのタイプは返事や挨拶をしようという意思が本来ないのだ。悪いヤツではないにしても、声をかけた方は不愉快になる。このタイプからも、いつしか人が離れていく。やがて一人ぼっちに。刺激がないからボケるのもはやい。それに、おしゃべりというあごの運動が少ないと、脳の血液循環が悪くなり、それがボケを早めると説く人もいる。耳を傾けたい。
ウーとかスーしかいわない亭主族も要注意
目の動き一つで、オレがなにを欲しているか女房は察して、黙って対応する——そんなことをいう亭主族も少なくない。2人の”年輪〃がなせるわざなのか、かみさんも立派だが、そんな夫婦は、ボケ競争をしているようなもの。ときにはお得意さんに対するような心づかいで、かみさんとの対話を心かけることが必要だ。
「家に帰ってまで、なぜ家族の機嫌をとらなくてはいけないのか」とぼやく声が聞こえてきそうだが、対話から生まれる適度な緊張関係が夫婦円満をもたらし、脳の刺激にもなる。
饒舌は耳ざわりだが、脳の老化を防ぐには「男は黙って……」を返上する必要がありそう。だんまり亭主はボケになりやすい。ときにはリップ・サービスを心がけて、脳の働きを活性化させること