「長生き」と「永遠の若さ」
長生きすること、あるいは永遠の若さを手に入れることは、私たちにとって最大の関心事の一つといってよいでしょう。だから古今東西を問わず、どこの国にも長寿や若返りをめぐる伝説が豊富に残されています。
たとえば、古代中国では秦の始皇帝の命を受けて、不老長寿の霊薬を探し求めた徐福の話が知られていますし、古代マケドニアのアレキサンダー大王は、永遠の生命を生み出すという伝説上の川を求めて、はるばるインドまで大遠征を行い、インダス河畔に至って歴史に残る大帝国をつくりあげました。
また、フロリダを発見し、その名をつけた16世紀スペインの探検家ファン・ポンセ・デ・レオンは、入浴した人に若さと健康を約束する“生命の泉”を探し求めて、新大陸へと旅立ちました。
このように「長生き」「永遠の若さ」という、人間なら一度は夢見るロマンが、さまざまな伝説を生み、ある時には歴史のドラマを演出したのでした。
科学者の英知が実現する「健康と長寿」
近代に入って、私たちは神秘の霊薬や果実、泉を探さなくなりました。それに代わって、伝染病やいろいろな病気から私たちを守るようなクスリの製造や、体内の病原体に対して免疫を与えるワクチンの開発に取り組むようになります。医師や薬学者など多くの科学者たちの英知が、夢物語ではない「健康で長生き」の追求へと向かうようになったのです。
1796年、E.ジェンナーは牛痘ウイルスが天然痘ウイルスに免疫を与えるという仮説を証明し、最初のワクチンが誕生して、人類は天然痘の恐怖から逃れることができました。
それからほぼ150年後の1952年、A.セービンやJ.E.ソークなどによって小児マヒ(ポリオ)ワクチンが創製され、ポリオ撲滅への一歩がしるされました。現在では多くの感染症がワクチンによって克服されています。