あなたはどんな時に老化を実感しますか
ホルモン補充療法について語る前に、体の老化について少しお話しましょう。
老化とは、時間に伴ってホルモン・レベルを減少させ、DNA自身め修補能力を減衰させてしまう進行性の細胞退化のプロセスということができます。
老化は、アメリカ食品医薬局(FDA)やアメリカ特許局、いくつかの医学団体によって疾患とは認められていませんが、治療不可能な死に導く進行性欠陥の全特徴を持っています。
ところで、あなたはどんな時に「ああ、年をとったなあ」と実感しますか?
少し歩いただけで息切れするようになった、視力が衰えた、耳が遠くなった、体のあちらこちらが痛くなった…。人によって老化を感じるサインはさまざまでしょう。これらは体の外に出たサインですが、体の内側でも動脈硬化がおこったり、内分泌、免疫の働きが低下して病気にかかりやすくなったり、治りが遅くなったりします。
年をとって体の不調を訴えると、栄養学の専門家は老化の進行を抑えるものを食べましょうといい、他の医師はもっと十分な睡眠をとりなさい、と言います。またある人は、フリーラジカル(毒性のある活性酸素などで、脂質を過酸化の状態にしたり、細胞核を傷めたりする)が老化の唯一の原因だから、抗酸化物を食べなければダメだと主張し、別の人は老化を防ぐ唯一の特効薬は運動することで、それ以外にはない、と断言します。一体どれが正しいのか。どれも正しいのかも知れないし、どれも決定的な効果をもたらさないかも知れない…、というのが本当のところかも知れません。
老化は細胞の中にプログラムされている
では、老化はどういう形であらわれてくるのでしょうか。
たとえば筋肉量が落ちたり、硬直しやすくなったり、胸膜や横隔膜の柔軟性がなくなって、生命維持に必要な呼吸能力が徐々に失われていきます。また、筋肉機能の減退(たとえば握力の減少やスタミナの低下)や体脂肪の割合が増加、免疫力の低下も、老化と大いに関係があります。
臓器関係では、心臓機能や腎臓機能の衰えが年齢を重ねるごとに目立つようになりますが、とくに腎臓は40代半ば以降に機能の減退が見られるようになります。さらに骨格が衰えたり、骨折を起こしやすくなる骨量減少は、初老のご婦人方に疾患を引き起こす主な原因の一つといってよいでしょう。
爪の成長力は 50%に減退するという研究結果がありますから、爪の伸びが悪いなと感じたら、老年期に入りつつあると思っていいかも知れません。皮膚も年をとるにしたがって弾力性がなくなりますが、これは皮膚細胞の膨張指数が小さくなるからです。このほか、聴覚や視覚の衰え、反応時間の遅れ、記憶のあいまいさなど、おなじみの老化現象があります。
このように老化の現れかたは体内の各部や人によってさまざまです。では、老化現象はなぜ起こるのでしょう。あるいは、老化のメカニズムはどこまで解明されているのでしょうか。
この問いかけについて、現在はまだはっきりとした答は出ていませんが、人間などの多細胞生物にはあらかじめ老化や死が組み込まれている、という説が有力となっています。つまり、細胞は分裂しながら年をとり、それににしたがって老化するというプログラムを、自己の中に内在的に持っているというのです。そのカギを握るのが、テロメアと呼ばれる分子です。