
ストレス度チェックはいかがだっただろう。
黄もしくは赤信号だった人は、さぞやストレスの多い生活を送っているに違いない。対策も講じているだろう。
反対に、○の数が5個未満でストレス青信号だった人にとっても、これは決して無関係の話ではない。自分自身のストレスは意外と気づかないもので、知らず知らずのうちに心身に変調を来すことがあるからだ。ストレスに悩まされない、心と体のバランスがとれた健康的な生活を過ごすため、ストレスについて探ってみよう。
そもそもストレスとはいったい何だろうか。
この言葉を医学に導入したカナダの生理・病理学者ハンス・セリエによると、ストレスとは「寒冷、外傷、疾病、精神的緊張などが原因になって、体内で起こる非特異的な防御反応」と定義される。つまり、寒さや精神的緊張などの刺激によって体内に起こる変化や、それをもとに戻そうとする反応が『ストレス』となるわけなのだが、このとき、これらのストレスを引き起こす原因となった刺激のことを『ストレッサー』と呼ぶ。
今回、ストレスについて解説していただいた横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンターセンター長・山本晴義医師は、さらに分かりやすくこう説明する。
「テーブルに柔らかいボールが置かれているとき、それを指で押すとボールは一部分がへこんでいびつな形になりますね。このとき、指で押すという刺激が『ストレッサー』、ボールのへこんだ状態が『ストレス』になります。私たちの日常生活では、さまざまなものがストレッサーになります。多忙な仕事や煩わしい人間関係などは代表的なものですし、そのほかにも病気や金銭問題、騒音など、数え上げればきりがないほどですよ」
これらのストレッサーでストレス状態になったとき、体はありとあらゆる形で影響を受ける。ある人は頭痛や肩凝り、胃痛といった身体症状で現れるだろうし、別 の人はイライラ感やうつ状態などの精神症状の形で出るかもしれない。暴力や出社拒否といった行動異常を起こすこともあるだろう。
症状はあくまでも千差万別で、「このストレッサーならばこの症状」という一定のルールはない。山本医師によると、「各個人の弱い部分に症状となって現れる」のだそうだ。
自律神経とストレスの関係
では、なぜストレスがこうした症状になって心身に現れるのだろう。そこには自律神経が関係する。
自律神経とは、体のさまざまな臓器や器官をコントロールする神経である。暑いときに汗が流れたり、寒いときに鳥肌がたったりするのは、体温を自動的に調節しようとする自律神経の働きだ。自律神経には体が動きやすいように働く緊張型・活動型の神経「交感神経」と、内臓や器官をリラックスさせてエネルギーを保存する休息型・体力回復型の神経「副交感神経」があり、このふたつがバランスよく機能することで、健康な状態が保たれるのだ。
自律神経があるのは脳の中、それも間脳の中の視床下部というところに中枢が位置する。視床下部は食欲・性欲などの欲望や、喜び、悲しみ、恐怖、愛情といった心の変化を体に表す重要な役割を担う部分だ。視床下部は『大脳の古い皮質で生まれる本能や感情』によって支配されるが、さらにその本能や感情は『大脳の新しい皮質がつかさどる理性や知性』によって支配されるという図式ができあがる。
内臓や器官の機能調節を行う自律神経は、ストレッサーに対する防御体制を体の中で整えるときに仲介役として活躍するが、刺激が大きすぎたり長期間にわたったりするとそうもいかない。体の中の防御体制が乱され、前に述べたようなストレス症状となって心と体を襲うのである。
ストレス症状が続くと、社会生活にもさまざまな弊害が起こってくる。仕事の能率が落ちてくるのはもちろんだし、ささいなことでトラブルを巻き起こすこともある。たかがストレス、されどストレス。自分がストレス状態にあると感じたら、早めのケアを考えたい。