家族が気付く日常生活の変化が決め手
もし、家庭の中でアルツハイマー型痴呆症の疑いがある人がいたなら。前記したとおり、早期治療が最も重要になってくることは理解されたことと思う。
そこで、アルツハイマー型痴呆症と診断するための手順を、簡単ではあるが列記してみたい。
【1】日常生活に支障をきたす「記憶障害」がある。
同じことを何度も言ったり聞いたりすることや、置き忘れやしまい忘れが目立ち、蛇口やガス栓の締め忘れなどもするようになる。
【2】日常生活に支障をきたす「認知障害(記憶障害を除く)」がある
時間や場所の感覚が不確かになり、慣れている場所で道に迷ったりする。またテレビドラマの筋が理解できなかったり、家電製品(テレビのリモコンなど)が使えなくなる。
【3】うつ病はない(除外する項目)
気分が沈む、落ち込む、ふさぎ込むといった症状や悲哀感、寂しさを訴えたり自責感にとらわれることはない。
【4】意識障害(せん妄)はない
(除外する項目)
急激に発症し、症状が一日の中でも変動、特に夕方から夜間にかけて悪化することはない。また落ち着かず動き回る時とぼんやりしている時はない。さらに気分が不安定で、急にそわそわしたり、イライラしたり、怒りっぽくなったりすることもない。
以上の【1】〜【4】の経過を見て、数週間ないしは数カ月の期間に限られたものではないことを確認、少なくとも1年(通 常2年から5年) 以上前から認められればアルツハイマー型痴呆症を含む痴呆症の可能性が高い。
アルツハイマー型痴呆症は、40歳代の働きざかりから発病する可能性があり、家族が症状に気づいてから受診するまで平均2年から3年かかると言われている。家族または自分自身でも注意することは必要となる だろう。
アルツハイマー型痴呆症の重症度判定
段階 臨床診断 特徴
1 正常 主観的にも客観的にも知能低下はない。
2 年齢相応 物の置き忘れの訴えや喚語困難がある。
3 境界状態 日常生活での機能低下は顕在化しないが、他人が見て仕事の効率の低下がわかる。
4 軽度 日常生活では支障は目立たないが、将来の計画を立てたり、段取りをつけることができない。また社会生活・対人関係で支障をきたす。
5 中等度 日常生活でも部分介助が必要だが、失禁はない。気候に合った服を選んで着ることができず、理由もなく着替えや入浴を嫌がる。
6 やや高度 不適切な着衣をするので、着衣に介助が必要になる。靴ひもやネクタイは結べない。入浴はするが、洗濯は困難。失禁をきたすようになる。
7 高度 日常生活で常に介助が必要。同居している家族もわからなくなる。簡単な指示も理解できない。