久野院長をはじめ検査技師や看護婦、管理栄養士なども渡米し、数年にわたってライト博士やスタッフから直接その治療方法を徹底的に学んだという。
ライト博士が実践する新栄養療法の特徴は、手術や投薬に頼らず、食事の改善とサプリメントの適切な摂取で疾病を治療し予防しようというものだ。ウェルネス・バンクが会員登録制というシステムをとったのも、実はここにポイントがある。
「病気を治すのは患者さん本人です。医師は専門家の立場から助言をし、そのお手伝いをするわけです。どんな病気でも、よくなりたいという患者さん本人の意思がなくては、改善は望めません。そこで、その治りたいという気持ちを維持し、また、私たちの助言をきちんと受け止め実行するという意志を確認してもらうためにも『登録制』にしたのです」
病状ではなく、患者一人ひとりの病気の原因を徹底的に探り、体への負荷がより少ない方法でそれを取り除くために、登録後、徹底した検査と生活習慣に関するインタビューがおこなわれる。その結果 をもとに、ライト博士が厳選した130品目余りの中から、一人ひとりに応じたサプリメントが処方されるのである。
患者は通常の場合、自宅で日常生活を送りながら、指導されたメニューに従った食事や処方されたサプリメントを摂る。食事の内容は最低3カ月間、食事日誌に記録し、一定期間を経てクリニックで検査を受け、再度面 談を受ける——これをくり返していくシステムだ。医療や栄養はもちろん、気功や運動などさまざまな分野の専門家がチームを作って連携しながら、会員一人ひとりの健康の回復・維持をバックアップするという仕組みだ。
ウェルネス・バンクが登録制をとっているもう一つの理由は、医事分業とでも言えばよいだろうか、それぞれの専門性を生かした医療サービスを提供することにある。
つまり、同クリニックの医師や管理栄養士らは検査や面談を通じてそれぞれの健康状態を確認し、それに応じて治療をしたり、栄養面 でのアドバイス、運動療法の指導やサプリメントの処方など、専門的なアドバイスに専念する。サプリメントの購入手続きや検査の準備、事務的な連絡などはウェルネス・ネットが担当するのだ。
「栄養療法というと、従来は摂取するカロリーや量、品目を厳しく制限するものでした。でもそれでは食事が楽しくないでしょう。もちろん、状態によってはそうしたことも必要な場合もありますが、しかし基本は、楽しい人生のための食生活であるべきだと考えます。サプリメントを上手に取り入れることで、楽しく健康的な食生活が実現できるのです」
すでに140人余りが会員登録し、新栄養療法を受けているが、とくにアトピー性皮膚炎の患者で顕著な改善が見られるという。具体的な事例やそのデータについても、すでに有意義な臨床結果 (エビデンス)が出ている。特に脂肪酸のバランス改善がアトピーの症状の軽快とまったく正比例しているという、興味深いデータがある。これは全員に共通 している。
「現段階では個別の事例について詳細はお話できませんが、思わぬ成果も生んでいます。というのは、新栄養療法では、各自の体質や食事の内容、生活習慣を徹底的に調べたうえで献立の指導やサプリメントの処方をしています。親子は体質的に共通する点がありますし、同じ食卓で同じ食事を摂るわけです。ですから、子供さんのアトピー性皮膚炎の治療を続けるうちに、意識しなくても家族全員の食習慣が改善されることになります。お子さんだけでなく、お父さんの血糖値が下がった、体調がよくなったといった例が次々と報告されています」
必要な栄養は、年齢や体調、ストレスなどさまざまな条件によって変化する。ウェルネス・バンクでは、定期的な検査・面 談の結果に即して、サプリメントの内容も変えていく。こうしたサービスも、登録制と徹底したデータや検査があるからこそ実施できるものだ。